Blogブログ税理士が作る「月次試算表」の利益はなぜズレる?経営者が知っておくべき4つの理由

2026/07/11 (土)
  • 経営改善
  • 辻朋子のブログ
  • お知らせ

こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。

 

毎月、税理士から送られてくる月次試算表(月次決算書)に、こんなモヤモヤを抱いていませんか?

 

・黒字になっているけど、手元にはお金がないんだけど…

・先月は黒字だったのに、今月はいきなり大赤字。どの数字を信じればいいの?

・こんなに赤字なの?やばい…

・赤字だと思ってたら、こんなに利益出てるの?

 

もし一つでも当てはまるなら、要注意です。

 

実は、税理士が作る月次の数字(試算表や決算書)の利益は、必ずしも「今、現在の正しい経営状態」を映し出しているとは限りません。

 

はっきり言ってしまうと、正しい利益が計算されていないことがあるということです。

 

誤解のないように言っておくと、税理士が手抜きをしていたり、間違った処理をしているわけではありません。

 

そこには、税理士という仕事の「目的」と、月次処理の仕組みに理由があります。

 

今回は、なぜ月次利益が実態と違ってしまうことがあるのか、その「4つの理由」と、ズレた数字をそのまま信じて経営することのリスクについてわかりやすく解説します。

 

 

1.そもそも税理士のメインの仕事は「税務申告」である

 

もちろん、税理士の中には、経営者の味方になって「経営に使える素晴らしい月次決算」を毎月組んでくれる方もいらっしゃいます。

 

しかし、私の35年以上の現場経験から言わせていただくと、そういった税理士は全体の2割ほど。

 

つまり8割ぐらいの税理士は「税金(税務申告)のための処理」を行っています。

 

これは税理士が悪いわけでも、間違っているわけでもありません。

 

税理士という仕事の本来の仕事は「正しい税務申告(決算)を行うこと」だからです。

 

税金の計算というのは「最終的に1年間(年間)を通じて、帳尻があって正しい利益と税額が出ればOK」という世界です。

 

そのため、1ヶ月ごとの細かい動きにそこまでの正確性は求められないのです。

 

極端に言ってしまうと「途中はどうでもいい」という感じですね。

 

毎月の月次が多少ズレていても問題はないのです。

 

つまり、税理士が作成する「税金計算のための数字」「決算のための数字」と、経営者に本当に必要な「経営に活かせる数字」の間には、どうしても性質上、ギャップ(ズレ)が生まれてしまうわけです。

 

ここに、経営者が求める「今月の正しい利益」との大きなボタンの掛け違いが起こるわけですね。

 

 

2.月次の利益が「不正確」になる4つの具体的理由

 

では、なぜ月次の段階で利益がズレてしまうのでしょうか?

 

よくある4つのケースをご紹介します。

 

(1)「発生主義」ではなく「現金主義」で処理されている

 

経営において、正しく利益を計算するには「売上や経費が発生したタイミング」で記録、計算を行う「発生主義」が原則です。

 

しかし、月次の処理では「通帳からお金が入ってきたタイミング、出たタイミング」で記録する「現金主義」で処理されがちです。

 

例えば、わかりやすいのが「社会保険料」です。

 

通常は月末引き落としですが、月末が土日の場合は翌月の頭に引き落としになりますよね。

 

これを現金主義で処理していると、その月の経費にならず、翌月に経費として処理されてしまいます。

 

すると、翌月の月次には、その月の分と、前月分の2ヶ月分の社会保険料がドカンと計上されてしまうわけです。

 

社会保険料の引き落とし額が大きい会社は、利益は大きくズレます。

 

これだと、たまたま支払日がズレただけで「今月は黒字」「来月はいきなり赤字」という、経営判断を狂わせてしまうことになりかねません。

 

(2)棚卸(在庫)が反映されていない

 

特に物販や製造業などで多いケースです。

 

毎月、月初と月末の「棚卸(在庫)」を正確に計算して月次に反映させていないと、売上原価(経費)が正しく計算されません。

 

在庫の動きが無視された試算表は、仕入れた月にドカンと経費(原価)がふくらみ、利益が実際より低く見えたり、逆の現象が起きたりします。

 

(3)前受金がそのまま売上に計上されている

 

お客さまから、先にお金をいただくビジネスの場合、本来はサービスを提供した月に少しずつ売上に振り替えることが必要です。

 

しかし、入金された月にドカンと全額売上として処理されていると、その月だけ「見かけ上の利益」が一気に増えてしまいます。

 

(4)減価償却が毎月計上されていない

 

車や機械、設備投資をした際の経費である「減価償却費」も月次を狂わせる大きな原因です。

 

多くの税理士は、減価償却費を、決算の時に1年分をまとめて計上します。

 

もちろんこれが決して間違っているわけではありません。

 

しかし決算月を迎えるまでの11ヶ月間は、減価償却費を計上しないことになるため、見かけ上の大きな利益が出ていることになります。

 

そして決算のときに、減価償却費を全額計上することで、いきなり利益が吹き飛んでしまうのです。

 

これでは、毎月の正しい黒字、赤字の判断ができません。

 

 

3.何百円単位の正確さは不要。でも「処理モレ」の放置はNG。

 

私は、月次の数字を「1円、何百円単位まで完璧に正しくしましょう」と言いたいわけではありません。

 

経営のスピード感を考えれば、大まかな傾向が掴めれば十分なこともあります。

 

しかし「処理すべき大きなズレ(社会保険料、在庫、前受金、減価償却費などの修正)」を無視したまま、出てきた月次の利益を信じて経営することには、リスクがあります。

 

なぜなら、意思決定に致命的な誤りが生じることだってあり得るからです。

 

実際、このようなケースがありました。

 

税理士から送られてきた月次では「500万円の赤字」になっていたのです。

 

社長は「自分は経営者として失格だ」と落ち込んでいました。

 

私が中身を細かく精査すると「月次処理のモレやズレ」がゴロゴロと見つかったのです。

 

そこで、社長から税理士へ「ここをこうやって修正して処理して、もういちど月次を印刷してください」と依頼してもらったところ・・・

 

なんと、実際は「100万円の黒字」だったことが判明しました。

 

500万円の赤字と、100万円の黒字、その差(ズレ)は600万円です。

 

これでは、経営の意思決定は180度変わってしまいますよね。

 

「税金計算のための数字」をそのまま経営判断に使おうとすると、場合によっては判断ミスを起こしてしまうことも…

 

車を運転するときに、間違った地図を見ていると、どんなに優秀なドライバーだって、崖から落ちてしまうことだってあるわけです。

まとめ:経営に必要なのは「経営のための数字」

 

税理士が作ってくれる試算表は、あくまで「税金計算のための数字」という側面が強いものです。

 

ただ送られてくるだけの数字を見ていても、経営に活かせません。

 

ちなみにこれは、税理士任せにしている会社に限った話ではありません。

 

社内に経理担当がいて「自計化」している会社であっても、実は同じような月次になってしまっているケースをみかけることがあります。

 

まずは、今手元にある月次試算表(月次決算書)を、一度点検してみてくださいね。

 

例えば…

 

・現金主義になっていないか?

・在庫が正しく反映されているか?

・前受金がきちんと処理されているか?

・その月の社会保険料がきちんと計上されているか?

・減価償却費が計上されているか?

 

※減価償却費については、1年分の減価償却費を12ヶ月で割って、1ヶ月分を計上しましょう、と提案しています。

 

そしてもし…

 

・自分一人ではうまくチェックできない

・うちの月次がどうなっているか見て欲しい

・税理士や経理担当者への具体的な指示の出し方、依頼の仕方がわからない

 

そう思う方は、ぜひ私にご相談ください。

 

実際に、私がサポートしている会社の中には、社長に対して「税理士への依頼の仕方」を具体的にアドバイスしています。

 

毎月毎月繰り返し行うことで「税金計算のための数字」から「経営に活かせる数字」に劇的に変化しています。

 

どんどん月次の精度が上がり、たくさんの嬉しい変化が生まれています。

 

さらに私は、精度が上がった月次に対して、気になる点をプロの目でしっかり指摘しています。

 

例えば「今月は、粗利益率が通常より〇%低いですが、原因は認識していますか?」というように、私とメールを使ったラリーを重ねながら、月次の改善方法と「経営への活かし方」を、実践の中でリアルに学んでいただいています。

 

そんな実践的なノウハウを詰め込んだのが「資金繰りメールサポート」です。

 

送られてくるだけの月次を、経営に活かせる武器に変えたい方はぜひご活用くださいね。

 

・マンツーマンで行うメールサポートの詳細はこちらです

 

 

 


 

【著者プロフィール】

辻 朋子(つじ ともこ)

株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント

35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。

売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。

そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。

そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、強い基盤をつくることをアドバイスしています。

「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。

経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供中。

 

好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。

数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。

 

【孤独な決断に、確信を】

社長の「壁打ち相手」として伴走する、完全個別メールサポートの詳細は下記よりご確認いただけます。

・資金繰り本質改善メールサポートの詳細、お申し込みはこちら

 

Contactお問い合わせ

サービスに関するご質問などお気軽にお問い合わせください。

0748-46-4440

営業時間 平日9:00~16:00

QRコード

QRコードを読み取って友だち追加!

友だち追加
ID
@tsuji-jyuku

各サービスへのお申し込み

資金繰り表講座
会員限定
赤字脱却実践塾
会員限定

株式会社 スマップス