Blogブログ【攻め社長の盲点】売上絶好調なのに会社が潰れる?「黒字倒産」のメカニズムと今すぐできる回避策
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こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
「売上は過去最高、利益もしっかり出ている。事業はめちゃくちゃ順調だ!」
そうやって攻めの姿勢で事業を拡大している社長、とっても素晴らしい行動力だと思います。
しかし、そんな「イケイケで、いい感じの会社」ほど、実は足元に恐ろしい罠が潜んでいることをご存じでしょうか。
それが「黒字倒産」です。
帳簿上は儲かっているはずなのに、なぜか手元の現金(キャッシュ)が底をつき、会社が突然潰れてしまう。
今回は、売上アップが得意な「攻め社長」に向けて、黒字倒産がなぜ起きるのか、その本当のメカニズムと、
融資(借入)に依存しない強固な会社を作るための「はじめの一歩」を解説します。

そもそも事業には「2つのバケツ」がある
黒字倒産のメカニズムを紐解くために、まず社長の頭の中に「事業にある2つのバケツ」を
イメージしていただきたいのです。
・①【損益のバケツ】(帳簿上の売上と利益)
・②【資金繰りのバケツ】(実際の現金の出入り)
攻めが得意な社長は、この①「損益のバケツ」を見ることがとにかく得意で、大好きなはずです。
売上を上げ、利益を出し、①のバケツにどんどん水を注ぎ込む。
だからこそ、あなたの事業はこれまでスピード感を持って成長してきたのです。
しかし、この2つのバケツは「水が入ってくるタイミング」も「出ていく動き」も全く違うため、
中身の水の量が大きくズレてしまいます。
なぜ2つのバケツはズレてしまうのか?
具体的に、お金の動きを比較してみましょう。
1.入ってくる動きの違い(売上と回収のタイムラグ)
大きな売上を上げた瞬間、①損益のバケツには大量の水がドバッと注がれます。
しかし、取引先から実際に代金が振り込まれる(回収する)までは、②資金繰りのバケツには水が1滴も入ってきません。
そこに取引先からの「売掛金 回収遅れ」などが重なれば、資金繰りのバケツは一瞬で干からびてしまいます。
2.出ていく動きの違い(借入返済という隠れた穴)
さらに恐ろしいのが、出ていくお金(支出)の違いです。
事業を大きくするために引いた「借入金の元金返済」は、
①損益のバケツからは出ていきません(経費にならないため、穴があかない)。
しかし、②資金繰りのバケツからは、毎月直接水がドバドバと抜き取られていきます。
【攻め社長の落とし穴】成長すればするほど、ズレは巨大化する
ここまでの話を聞いて、「なるほど、動きが違うんだな」で終わらせてはいけません。
本当の恐怖はここからです。
攻めの経営で事業が「成長すればするほど」、この2つのバケツのズレは比例して
どんどん大きくなっていくという現実です。
・事業が大きくなれば、先行して出ていく支払い(仕入れや外注費)も跳ね上がります。
・事業を拡大するために借り入れた金額が大きくなれば、毎月「経費にならない返済額」も跳ね上がります。
売上アップが得意な社長ほど、得意な「損益のバケツ」ばかりを見て、「今月も売上最高だ!」
とアクセルを踏み続けます。
しかし、あまり見ることのない「資金繰りのバケツ」では、目に見えない巨大な穴から水が
ドバドバと漏れ出している……。
事業が成長し、イケイケで最高にいい感じのタイミングにこそ、
この巨大化したズレ=「黒字倒産の落とし穴」が目の前で口を開けて待っているのです。
致命傷になるのは、いつだって「資金繰りのバケツ」が空になることです。
借りられているうちに、借入前提の構造から卒業しよう
多くの成長企業は、資金繰りのバケツから水が減っていくと、それを「新規の融資」で補給しようとします。
たしかに、「借りられているうちはいい」かもしれません。
しかし、急な金融引き締めや不況、自社の業績のブレなど、外的要因一つで融資がストップすることもあります。
「いつまでも借り続けられるとは限らない」のです。
もし明日、突然銀行から「追加融資はできません」と言われたら、あなたの会社は耐えられますか?
借りられなくなってから慌てても、打てる手はありません。
だからこそ、借りられているうちに、そして事業が順調に成長している今だからこそ、
借入前提の事業構造から少しずつ「卒業」していくこと。
対症療法の融資に頼り続けるのではなく、自社の力でお金が生み出され、
残る体質へ変えていく「本質改善」が必要なのです。
黒字倒産を回避するための「はじめの一歩」:それは現状把握に尽きる
借入前提の構造から卒業し、本質改善を進めるための「はじめの一歩」は、小手先のテクニックではありません。
「自社の『資金繰りのバケツ』の現実を、徹底的に把握すること」。これに尽きます。
まずは「実績資金繰り表」を開き、自社のバケツが今どうなっているのか、
次の3つの視点でシビアに現状をチェック(把握)することからスタートしてください。
チェック①:大前提として「収入 > 支出」になっているか?
帳簿上の「売上 > 経費」ではなく、実際に今月通帳に入ってきたお金(収入)が、
出ていったお金(支出)を上回っているか。
「手元のお金の引き算」が毎月プラスになっているか、まずはここを直視しましょう。
チェック②:経常収支が「財務収支(借入返済)」を賄えているか?
借入依存の体質(自転車操業)から抜け出せるかどうかの最大の分岐点です。
・経常収支:本業の営業活動で増えた、自前のみずみずしいお金
・財務収支:融資による入金や、借入の返済(元金返済)によるお金の出入り
本業で生み出したプラス(経常収支)の範囲内で、毎月の借入返済(財務収支のマイナスである元金返済)を
余裕で賄えているでしょうか?
ここが賄えておらず、「返済のために、また新しく借りる」という状態は、融資という延命措置に頼っているだけです。
まずはこの構造を正しく把握することがスタートラインです。
チェック③:3つの収支(経常・財務・経常外)のバランスは健全か?
会社のお金の動き(3つの収支)のバランスを確認します。
1.経常収支:本業によるお金の増減(ここがすべての源泉)
2.財務収支:借入や返済によるお金の増減
3.経常外収支:設備投資や資産売却など、本業以外のお金の増減
本業(経常収支)でしっかり水を増やし、その自前の水の範囲内で設備投資(経常外)や借入返済(財務)を
行えている状態こそが、本当に目指すべき「借入に依存しない強固なバケツ」です。
まとめ:「現実を見る勇気」こそが、攻め社長の会社を守る
売上を伸ばし、事業を大きくしていく攻めの経営は、社長の素晴らしい才能であり強みです。
しかし、その攻めを持続させるためには、「自社のキャッシュの現実」から目を背けない強さが必要です。
どれだけ事業が拡大して「損益のバケツ」が満たされていても、「資金繰りのバケツ」の存在を忘れていれば、
会社は一瞬で倒れてしまいます。
借りられているうちに、自社の「実績資金繰り表」を開き、バケツの穴がどこに空いているのか、
経常収支で返済を賄えているのか、その構造を正確に把握する「はじめの一歩」を踏み出してください。
現状が正しく見えれば、次に打つべき本質改善の手は自然と見えてきます。
「攻めの営業力」に「本質的な財務力」が加われば、あなたの会社は融資に依存せず、
自走して成長し続ける最強の企業へと生まれ変わるはずです。
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【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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