Blogブログ【自己資本比率55%でも倒産する】「指標が良いから」「銀行が貸してくれるから」という勘違いが会社を潰す
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こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です
「決算書の自己資本比率も高いし、財務指標はバッチリだから安心だ」
「金融機関もお金を貸してくれているし、うちの財務は安全だと評価されているはずだ」
もしあなたが今、自社の財務指標の良さや、銀行がスムーズに融資してくれていることに
手応えを感じて安心しているなら、今回の話は非常に重要です。
あえて、一番大切な「経営の真実」からお伝えします。
「財務指標が良く、金融機関が融資してくれているからと言って、決して安心してはいけない」ということです。
世の中には「自己資本比率が高かったり、利益が出ていたり、銀行が融資してくれているから大丈夫」と
思い込んでいる社長がたくさんいます。
ですが、どれだけ指標が優秀で銀行評価が高くても、手元の「現預金(生のキャッシュ)」
が枯渇すれば、会社はあっけなく潰れます。
逆に言えば、会社は「赤字だから倒産する」わけではありません。
赤字であっても、手元にお金さえあれば生き残ることができるのです。
なぜ、指標が良く銀行からも評価されている会社が潰れてしまうのか?
その決定的な実例をご紹介します。
実例:自己資本比率「約55%」で倒産した大手アパレル「レナウン」
指標が良くても会社が潰れる典型的な例が、2020年5月に民事再生法(倒産)を申請したアパレル大手「レナウン」です。
倒産直前のレナウンの財務状況を見ると、驚くべき数字が並んでいました。
- 総資産: 約300億円
- 現預金: 約33億円
- 自己資本比率: 約55%
一般的な財務指標の基準では、自己資本比率が40%を超えれば優良企業、50%を超えれば超優良企業と言われます。
固定資産もそれほど多くなく、自己資本比率が55%ということは、借入金もそれほど多くはありませんでした。
指標や表面的な数値だけを見れば、誰が見ても「倒産とは無縁の安全な会社」だったのです。
では、なぜレナウンは倒産してしまったのでしょうか?
倒産した理由は、単純に「お金(現預金)がなかったから」です。
総資産300億円に対し、現預金はたったの33億円ほど。
つまり、総資産の11%程度しか現預金を持っていなかったのです。
レナウンの資産の大半を占めていたのは、お金に換わっていない
「売上債権(売掛金など)」と「棚卸資産(在庫)」でした。
売掛金が回収できず、在庫も現金化できないまま、手元の現預金(33億円)は日々の支払いで一気に削られていきました。
商取引のトラブルなども重なり、いよいよ手元資金が底をつきかけた時、
これまで頼りにしていたメインバンクが追加のお金を貸してくれなくなり、一気に倒産に至りました。
どれだけ綺麗な指標を持っていようと、過去に銀行が融資してくれていようと、
「支払いに使える生の現金」がなくなった瞬間に、会社は終わりを迎えるのです。
これが「黒字倒産」の正体。必要なのは指標ではなく「キャッシュ」
レナウンの事例から私たちが学ぶべきことは明確です。
世の中で言われる「黒字倒産」の正体は、まさにこういうことです。
・損益計算書(P/L)の上では「利益」が出ている
・貸借対照表(B/S)の上では「自己資本比率が高い(安全)」
・銀行も評価して融資をしてくれていた
・しかし、資産の中身が「回収できない売掛金」や「売れ残った在庫」ばかり
・結果として、支払いに必要な「現預金」が底をついて倒産する
繰り返しますが、会社を倒産から守るのは「自己資本比率」という%(パーセンテージ)でもなければ、
過去の集計結果である「利益の数字」でも、銀行のお墨付きでもありません。
口座にある「現預金(キャッシュの絶対額)」そのものです。
・売掛金や在庫: 今すぐ給料や仕入れの支払いに使うことはできない
・借入金返済や固定費: 毎月「生の現金」で出ていく
・現預金: 底をついた瞬間に、どれだけ指標が良くても倒産する
「自己資本比率が高いから」「利益が出ているから」「銀行がお金を貸してくれるから」
という表面的な要素に満足して過信してはいけません。
真にチェックすべきは、「うちの資産の中で、すぐに動かせる現預金がどのくらいを占めているか?」
という「資産の中身(クオリティ)」なのです。
最強の「攻め社長」になるために、今すぐ確認すべき3つのこと
これからも果敢に攻めの経営を続け、何があっても潰れない強い会社を作るために、
指標や銀行評価への過信を捨てて以下の3つを今すぐ確認してみてください。
1.手元の「現預金」は固定費の何ヶ月分あるか?
決算書のパーセンテージに安心せず、毎月絶対に支払う固定費(人件費、家賃等)に対して
「生の現預金」が何ヶ月分あるかを直視してください。
手元キャッシュが2〜3ヶ月分しかなければ、不測の事態で一発アウトになりかねません。
最低でも半年分以上の現預金を蓄えることを目標にしましょう。
2.借入金(融資)を除いた自力の「収入 > 支出」になっているか?
ここで最も気をつけたいのは、「借入れて入ってきたお金は収入に含めない」ということです。
融資のお金を除いた「自事業で稼いだ本当の収入」だけで、仕入れや固定費、
毎月の借金(元本)返済といった「すべての支出」を賄えているか確認してください。
融資で穴埋めしてプラスに見せている状態は、非常に危険なシグナルです。
3.「売掛金」や「在庫」が増えすぎていないか?
攻めの経営者ほど、事業拡大のスピードに合わせて売掛金や在庫が膨らみがちです。
「売上が伸びているから大丈夫」と過信してはいけません。
回収前の売掛金や在庫は、まだ「お金」ではないのです。
決算書の資産の部を見て、手元の現預金に対して売掛金や在庫が過剰に膨らんでいないか、
回収遅延や滞留がないかシビアにチェックしましょう。
まとめ:指標に満足せず、本物の「現預金」という武器を持とう
自己資本比率や利益は、車で言えば「車体の頑丈さ」や「走行データ」に過ぎません。
どれだけ車体が頑丈で燃費が良く見えても、今タンクにガソリン(現預金)が入っていなければ、
車は一歩も動かず、走らせることはできないのです。
赤字でも、ガソリン(現預金)さえあれば車は走り続けることができます。
逆に超優良企業に見えても、ガソリン(現預金)が切れればその場で即ストップ(倒産)です。
経営は、評価や指標のパーセンテージで行うものではなく、「現預金」で行うもの。
「財務指標が良いから大丈夫」「銀行が貸してくれるから安全」という過信から、今すぐ卒業しましょう。
表面的な数字に満足するのではなく、「どうやって手元に確実な現預金を残し、どんな荒波にも耐えられる構造を作るか」
という本質的な改善に取り組んでいきましょう。
手元に潤沢な現預金があってこそ、経営者は不安にとらわれず、
本当の意味でダイナミックな「攻め」ができるのですから…
やはり、世の中を見渡してみても、現預金が多い会社は強いです。
ぜひ「財務指標が良い会社」ではなく、「真に強い会社」を目指してくださいね。
さて、このたび、資金面における強い基盤を築くためのサポートをスタートしました。
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【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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