Blogブログ【35年の現場で見た現実】勢いのある会社ほどハマる「在庫過大」と資金繰り悪化の危険なパターン
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こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
私はこれまで35年以上にわたり、数多くの経営者と現場で向き合い、会社の資金繰りを導いてきました。
その中で、勢いよく会社を成長させている「攻め社長」には、ある非常にわかりやすい特徴があります。
それは、「売上を伸ばそうとアクセルを踏むほど在庫が膨らみ、自ら資金繰りを悪化させてしまう」ということです。
「売上を伸ばすために仕入れを増やしているのに、なぜか手元にお金が残らない」
「利益は出ているはずなのに、資金繰りがどんどん苦しくなる」
もしあなたの会社でこのような現象が起きているなら、まさに今、危険なパターンに足を踏み入れかけています。
今回は、数々の会社を見てきた経験から、攻めの経営術の裏にある「在庫と資金繰りの負のループ」について解説します。
攻め社長が無意識に陥る「2つの盲点」
事業を拡大しようとするとき、攻めの社長の頭の中には無意識に以下の2つの思考が働きます。
1.「欠品(チャンスロス)は絶対に避けたい!」
せっかくの注文を逃したくない一心から、仕入れ量を強気に多めで発注してしまう。
2.「新しい商品を出せば、売上は必ず増える!」
新商品を投入する「足し算」ばかりを考え、今ある既存商品の売れ残りや市場での引き際(出口戦略)を考えない。
どちらも一見すると「前向きで積極的な投資」に見えます。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
自ら作り出してしまう「資金繰り悪化」の負のループ
この2つの思考がスタート地点となり、会社の中では恐ろしい負のループが回り始めます。
【1】売上を追って仕入れを増やし、新商品を投入する
↓
【2】在庫が倉庫に一気に膨らみ、管理が追いつかなくなる
↓
【3】月末の在庫把握(棚卸し)を怠り、「だいたいの数字」で済ませる
↓
【4】翌月の「月次試算表」に正しい在庫が反映されず、正確な利益が分からない
↓
【5】「今月も利益が出ているから大丈夫」と錯覚し、さらに仕入れる
↓
【6】気づいたときには手元資金が消え、資金繰りが一気に悪化する
一番怖いのはは、「管理を怠っているために、自分自身の状況(本当の限界)が見えなくなっている」点です。
在庫が増えると、会計の仕組み上、売上原価から除外されるため帳簿上の「利益」は残りやすくなります。
しかし、その利益は売れて得た現金ではなく「倉庫に積まれた商品」に変わっているだけです。
手元のお金は仕入れ代金として消えているのに、帳簿上は利益が出ているから税金も発生する。
つまり、「在庫」と「税金」で二重にお金が減っていくのです。
倉庫にあるのは「商品」ではなく「あなたのお金」
売れ残った在庫は、会社にとって「将来入ってくるはずの現金」ではありません。
放置すればするほど、保管コストや劣化によって価値が落ちていく「カタチを変えたお金(寝ているキャッシュ)」です。
新商品を増やすこと自体は決して悪いことではありません。
しかし、新しいものを倉庫に入れるのであれば、動かなくなった旧商品をどう処分するのかという「引き際(出口戦略)」をセットで決めない限り、手元資金はどこまでも削られていきます。
負のループを断ち切るために、今すぐやるべきこと
この悪循環から抜け出すために、今日から取り組んでほしいアクションはシンプルです。
1.完璧じゃなくていい、「月末の在庫」をリアルに掴む
まずは「今、どれだけの現金が倉庫で眠っているのか」を把握してください。
面倒に思えても、実態の在庫数字を確定させることが第一歩です。
2.「正しい月次試算表」で現実のキャッシュを直視する
正確な在庫数字を入れた月次を作成し、「本当の利益」と「実際の手元資金」のギャップを確認しましょう。
帳簿上の数字に踊らされず、「あと何ヶ月、このペースで走れるのか?」という実効的な資金状況を直視することが、会社を守り、次の本当の攻めに繋がります。
まとめ:真の「攻め」は、資金の守りがあってこそ
攻めの情熱やスピード感は、経営者にとって最大の武器です。
しかし、そのアクセルを踏み続けるための「燃料(キャッシュ)」を切らしてしまっては、元も子もありません。
売上を増やすための仕入れが、実は「手元資金を倉庫に閉じ込める作業」になっていないか——。
一度立ち止まって、自社の倉庫と資金繰りを見直してみてくださいね。
「うちは大丈夫かな?」「今の資金繰りの状態を正しく把握できているか不安だ」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
会社の命綱であるキャッシュフローを整え、安心して攻められる体制を一緒に作っていきましょう。
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【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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