Blogブログリスケ(返済条件変更)とは?メリット・デメリットと「3年で正常化する会社」が行う損益バケツの改善術
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ノープランのリスケ申請は「絶対にNG」です!
こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
資金繰りが厳しくなったとき、経営者として「とにかく毎月の返済額を下げて、少しでも資金繰りを楽にしたい」「会社を守るために、一刻も早く返済を止めたい」と焦る気持ちはよく分かります。
会社と社員を守るために、そうした緊急的な対応が必要な場面があるのも確かです。
ですが、この記事で私が一番お伝えしたい結論を、最初にお伝えします。
「ノープランで金融機関にリスケを申し出ることだけは、絶対にやめてください。」
リスケのメリット・デメリットも正しく理解せず、立て直しのプランも持たないまま銀行に駆け込んでも、本当の意味で会社を守ることはできません。
そもそも「リスケ(返済条件変更)」は資金繰りの改善ではなく、会社を立て直すための一時的な「猶予期間」に過ぎません。
今回は、リスケの基本的な意味やリスク、そして数々の現場を見てきた経験から分かる「ノープランのリスケが失敗する理由」と「3年で正常化できる会社と10年経ってもできない会社の違い」について、分かりやすく丁寧にお伝えします。
そもそも「リスケ」とは?何の略語?
「リスケ」とは、英語の 「リスケジュール(Reschedule)」 の略語です。
金融の世界では「借入金の返済条件変更」を指します。
具体的には、銀行などの金融機関に対して、
・元金の返済を一時的に止めてもらう(または減額してもらう)
・返済期間を延ばしてもらう
といった交渉を行い、毎月の返済負担を一時的に軽くしてもらう手続きのことです。
リスケを行うメリットとデメリット
「支払いが減る」という目先のメリットだけに目を奪われず、伴ってくるデメリットもしっかり把握しておくことが大切です。
メリット
・手元資金(キャッシュ)の減少を一時的に抑えられる
・毎月の返済日に追われる精神的プレッシャーが和らぐ
・経営改善を進めるための「猶予期間(時間)」が確保できる
デメリット
・リスケ期間中は、自社・他行問わず新規融資を受けることが原則できなくなる
・代表者個人の新規借入(事業性資金や各種ローン)も極めて困難になる
・利息の支払いは続くため、最終的な返済総額が増える場合がある
・銀行からの評価(格付け)が下がり、今後の取引に影響が出やすくなる
リスケは「攻めの社長」にだって起こり得ること
「リスケをするなんて、経営者として失格なのではないか…」とご自身を責めておられるかもしれません。
しかし、リスケは決して「経営が下手な会社」だけに起きることではありません。
事業を急拡大させようと果敢に攻めた結果、資金繰りが行き詰まる「攻めの社長」にもリスケは普通に起こり得ます。
・大きな設備投資や先行投資を行った
・急激な売上増加に伴い、仕入れや人件費の支払いが先行してキャッシュが追いつかなくなった
・攻めの投資をしたタイミングで、予期せぬ市場の変化や梯子を外されるような事態が起きた
チャレンジしたからこそ直面する壁であり、恥じる必要はまったくありません。
大切なのは「そこからどうやって体勢を整え直し、勝つか」です。
勘違いしていませんか?「返済額を減らすこと」は根本的な改善ではない
資金繰りが厳しくなると、多くの社長が「返済額さえ下がれば資金繰りが良くなる」と思い込んでしまいがちです。
ですが、これは大きな勘違いです。
返済額を減らして口座にお金が残るようになったとしても、それは「借金の返済を先送りして、手元にお金を留めているだけ」です。
会社自体が稼ぐ力を取り戻したわけでも、出ていく無駄なお金が止まったわけでもありません。
例えるなら、リスケは熱を一時的に下げる「解熱剤」のようなものです。
薬で熱が下がったからといって「病気が治った!」とは言えませんよね。
薬で時間を稼いでいる間に、体調を崩している原因そのものを改善しなければ、薬の効果が切れたときにまた同じ苦しさを味わうことになります。
【要注意】「他行なら借りられる」「個人なら借りられる」という甘い考え
リスケを検討するとき、意外と多くの社長がタカを括っているポイントがあります。
それは、「A銀行でリスケをしても、リスケをしていないB銀行ならお金を貸してくれるだろう」「足りない分は社長個人で借りて会社に入れればいい」という考えです。
結論からお伝えすると、他行でリスケを行っている会社やその代表者に対して、新たに融資を出す銀行は原則として存在しません。
1.他行でのリスケはすぐに把握される
銀行同士のネットワークや提出する決算書・科目内訳書、信用情報(連帯保証人情報)などを通じて、経営実態はすぐに分かります。
2.「他行への返済を止めている会社」に貸すリスクは取れない
どこかの銀行への返済を止めている状態でお金を貸しても「その返済補填に回るだけ」と判断されるため、銀行は絶対に融資を行いません。
リスケに入るとすべての金融機関からの新規調達がストップするという認識を持っておく必要があります。
なぜ差がつくのか?「3年で正常化する会社」と「10年経ってもできない会社」の共通点
私のこれまでの経験の中で、リスケに入ってから「3年で見事に正常化を果たした会社」がある一方で、「10年経っても抜け出せず、ダラダラとリスケを続けている会社」もありました。
この2つの会社を分ける大きな違いは、どこにあるのでしょうか?
答えは至ってシンプルです。それは「計画(プラン)」と「実行力」の差です。
1.「正常化プラン」を描いているか
3年で正常化する会社は、金融機関に行く前に「いつまでに、どうやって黒字体質に戻し、本来の返済を再開するか」という具体的な道筋を徹底的に計算し、プランを立てています。
一方、10年抜け出せない会社は「とにかく今月の返済を減らしたい」というノープランで動いています。
2.決めたことを「実行」しているか
どんなに立派な計画を書いても、実行しなければ意味がありません。
3年で正常化する会社は、立てたプランをもとに毎月のお金の流れを確認し、泥臭く改善策を実行し続けます。
そもそもなぜリスケが必要になったのか?「勘による経営」と「身の丈以上の返済」
根本的な話として、なぜリスケをしなければならない状況に陥ってしまったのでしょうか?
現場で数多くの経営者様を見てきた私の経験から言えるのは、リスケせざるを得なくなった会社の社長の多くは、「勘」で経営を行っていたということです。
もちろん、社長の「勘」や「センス」で経営がうまくいく時期もあります。
しかし、勘に頼った経営は決して長くは続きません。
感覚だけで突き進んでしまうと、知らず知らずのうちに「自社の身の丈(=お金を稼ぎ出す力)以上の借入」をし、「身の丈以上の返済」を抱え込むことになります。
会社のお金の状態を見ると、シンプルに【 支出 > 収入 】になってしまっているのです。
ここで整理しておきたいのは、「利益とお金(キャッシュ)はイコールではない」ということです。
売掛金の回収タイミングや在庫の存在、あるいは資産の売却などがあるため、損益上の利益と手元に残る現金は必ずしも一致しません。
しかし、資産の売却や一時的な借入でお金を作ったとしても、それはあくまで一時しのぎです。
「事業活動において継続的にお金を生み出す本質的な源泉は、絶対に利益からしか生まれない」という動かせない原則があります。
借入金の元金返済は、経費ではなく「利益(税引き後利益)」から支払うのが鉄則です。
勘に頼る経営を脱却し、数字で自社の「身の丈」を正しく把握しない限り、資金繰りの問題は根本解決しません。
リスケ期間中にやるべき「本質的な作業」とは?
リスケという猶予期間(時間)を使ってやるべき本質的な作業は、単なる一時的な資金繰りのやりくりではありません。
1.「損益のバケツ」を徹底的に見直し、本業でしっかり利益が出る「収益構造」へと根本から作り替える
2.利益とお金のタイムラグ(売掛回収・在庫・支払など)を整え、本業で生み出した「利益の範囲内(身の丈)」で返済できるようにキャッシュフローを再構築する
つまり、リスケの本当の目的・正常化への道とは、感覚に頼る経営から「数字に基づく経営」へとシフトする。
そして、お金の状態を【 支出 > 収入 】から【 収入 > 支出 】へ正しくシフトチェンジさせることなのです。
収益構造にテコ入れをして「自社の身の丈(稼ぐ力)」を大きく伸ばし、その身の丈に合った返済スケジュールへと整え直すこと。
これこそが、リスケ期間中に社長が成し遂げるべき本当の課題なのです。
なぜ「ノープランのリスケ」は絶対にダメなのか?
ここで改めて、一番大切なことをお伝えします。
間違えても、ノープラン(具体的な改善・正常化計画がない状態)で金融機関へリスケを申し出てはいけません。
なぜなら、こちらから「収入>支出」にするための明確な計画を提示できないと、金融機関の言いなりの減額条件で進められてしまうからです。
金融機関は当然、自行の回収を優先して条件を提示します。
しかし、「銀行の言いなりで決まった減額条件」で、見事に会社を正常化まで持っていけたケースは、私の経験上ほぼありません。
自社の損益構造やキャッシュフローの実態、そして「身の丈」を誰よりも知っているのは、社長であるあなた自身です。
「いつまでにどう収益構造を変え、毎月いくらなら無理なく返済できるのか」という意思とプランがないまま決定された条件では、結局すぐに資金繰りが行き詰まり、泥沼にはまってしまうのです。
リスケは終わりではない!過去にはリスケから見事復活して「上場」を果たした会社もある
「一度リスケをしたら、もうその会社は終わりなのでは…」と絶望的に考える必要はまったくありません。
実際、日本のビジネス界を見渡せば、過去に深刻な危機に陥ってリスケを経験しながらも、見事に経営を立て直し、最終的に株式上場(IPO)まで上り詰めた会社すら実在します。
しっかりとしたプランを携えてリスケに入り、これまでの無理な経営や傷んだ収益構造を一度リセットできれば、リスケは会社を根本から鍛え直し、飛躍させるための「最高の再出発地点(リスタート)」になります。
「正常化」できれば、銀行は再び強力なパートナーになる
自ら描いた正常化プランをもとに猶予期間中の改革を実行できれば、以下のような形で必ず道は開けます。
1.事業から生まれた利益の範囲内でキャッシュが残る体質(収入>支出)になる
2.減額していた返済を本来の約束通りに再開し、継続する
3.銀行からの信用を取り戻し、再び事業拡大のための融資を受けられるようになる
銀行だって「お金を貸したくない」わけではありません。
リスケという猶予期間を使って社長が本気で会社を変え、身の丈に合った健全な経営(=正常化)に戻ったと分かれば、金融機関は再び頼もしいパートナーとして事業を全面的に応援してくれます。
まとめ:リスケは「本質的な再出発」を果たすためのチャンス
毎月の返済額を下げたいというお気持ちは、会社を守ろうとする経営者として当然の感情です。
ですが、リスケそのものは資金繰りの改善でも、根本的な解決策でもありません。
本当の意味で会社を守り、リスケを「再出発地点」にして潰れない強い会社へと再生させていくためのステップは以下の通りです。
1.リスケは「応急処置」であり、根本的な改善ではないと知る
2.リスケは「攻めの社長」にも起こること。恥じる必要はない
3.勘による経営は長続きしないと自覚し、「数字に基づく経営」へシフトする
4.「ノープランでのリスケ申請」は絶対にしない(言いなりの条件は失敗する)
5.根本原因は「身の丈以上の借入と返済(支出>収入)」。お金を生む源泉は利益だと知る
6.損益のバケツ(収益構造)を見直し、「収入>支出」へとシフトチェンジするプランを立てる
7.そのプランを持って金融機関へ相談に行き、猶予期間中に泥臭く「実行」する
「とりあえず返済を減らす」ノープランのリスケから脱却し、会社を根本から立て直す「本質的な正常化」への一歩を踏み出していきましょう。
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【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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