Blogブログ【攻めの経営】節税で会社のお金が消える?100万の経費より「税金を払って65万残す」が正解な理由
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こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
事業を加速させ、売上や組織を拡大させようと挑戦を続ける社長ほど、次の投資に向けた資金繰りやコストコントロールに高い意識を持っています。
しかし決算期が近づくと、経営者仲間からこんなアドバイスを聞いたことはないでしょうか。
「利益を出して高い税金を払うくらいなら、何か経費を使って利益を下げた方が賢いよ」
一見すると、無駄な税金を減らして手元を守るための賢いアドバイスのように聞こえます。
しかし、この言葉を愚直に信じて実行し続けた結果、「売上はあるのに、なぜか手元にお金が残らず資金繰りが苦しい」という状態に陥ってしまう会社は実に多く存在します。
なぜ「節税」を意識すればするほど、会社のお金は減っていくのでしょうか。
今回は、攻めの経営を続けるために欠かせない「真のお金の残し方」について解説します。
1.100万円の経費と35万円の税金、手元にお金が残るのはどっち?
数字のインパクトを分かりやすく整理するために、100万円の利益が出そうな決算期を例にシミュレーションしてみましょう。
【ケースA】節税のために「100万円の経費」を使った場合
決算前に100万円の経費を使い、利益を0円に圧縮しました。
・支払う税金:0円
・会社から出て行った現金:100万円
→最終的に手元に残る現金:0円
【ケースB】無理な節税をせず「35万円の税金」を払った場合
経費を使わず、100万円の利益をそのまま計上しました(実効税率を約35%と想定)。
・支払う税金:約35万円
・会社から出て行った現金:35万円
→最終的に手元に残る現金:65万円
どちらが次に「大きく攻める」ための手元資金を残せるかは一目瞭然ですよね。
税金を減らすことだけに目を奪われると、節税できた額(35万円)よりもはるかに大きい現金(100万円)を自ら手放すことになります。
どちらが経営として賢い選択か、答は明確です。
2.「利益が出た=手元にお金が残る」ではないという注意点
ここで一つ、絶対に勘違いしてはならない重要なポイントがあります。
それは「利益が出たからといって、その金額が丸々手元のお金(キャッシュ)として残るわけではない」という現実です。
例えば、決算で100万円の利益が出て35万円の税金を払ったとしても、手元に65万円の現金がそのまま残るとは限りません。
なぜなら、決算書の「利益」とお金(キャッシュ)の動きにはズレがあるからです。
・借入金の「元金返済」(経費にならないのにお金だけが出ていく)
・売掛金の回収遅れや、在庫の抱え込み(利益は出ているのに現金化されていない)
・設備投資などの固定資産購入(支払った現金がその年の経費にならない)
・保険料の積み立て部分(保険は全額経費になるとは限らない)
このように、利益が出ていても、そこから借入の返済や在庫・投資にお金が消えていくため、実際に手元に残るキャッシュは利益よりもさらに少なくなることが多いのです。
つまり、「利益を出してもお金が残るとは限らない」からこそ、そもそも利益をしっかり出しておかなければ、手元にお金を残すことすら絶対にできません。
節税で利益をゼロにしてしまえば、手元にお金を残すスタートラインにすら立てなくなってしまいます。
3.「お金を使う節税」は、100円払って35円安くしているだけ
節税の本質を冷静に見極める必要があります。
お金を使う節税とは、本質的に「100円の現金を差し出して、35円の税金を免除してもらっている」に過ぎません。
差し引きで65円のお金が会社から減っています。
もちろん、節税目的ではなく、事業拡大に不可欠な設備投資やITインフラの導入、優秀な人材を獲得・育成するための採用教育費、売上を拡大させるための効果的な広告宣伝費といった「未来の事業成長につながる前向きな投資」であれば問題ありません。
しかし、「税金を払いたくないから」という理由だけで購入する高級車、不要な保険、年度末の駆け込み購入などは、会社の資金力を削ぎ落とす要因でしかありません。
次の挑戦に必要なのは、節税の実績ではなく「今、実際に使える手元の現金」です。
4.利益を減らす節税は「銀行融資(攻めの資金)」の枠も削る
攻めの経営者にとって、手元資金と並んで重要なのが「金融機関からの調達力(融資枠)」です。
過度な節税は、この融資枠をも直撃します。
銀行が融資の判断をする際、最も重視するのは「決算書の利益(返済能力)」です。
節税のために利益を無理やり圧縮した決算書は、第三者から見れば「利益を出す力がない会社」と評価されます。
過度な節税は、経費の使い過ぎによって「手元の現金」を減らすだけでなく、利益が減ることで決算書の評価が下がり「銀行融資の枠」も狭めてしまうという二重の打撃をもたらします。
勝負どころで大きな投資を行いたいとき、手元のキャッシュもなく、銀行からの融資も受けられないという事態になれば、せっかくの成長機会を逃すことになります。
健全な利益を出し、格付けの高い決算書を作ることこそが、最大の「攻めの備え」となります。
5.会社を真に強くするのは「税金を払った後に残るキレイなお金」
会社が長期的に成長し、倒れない強い財務基盤を作る唯一の方法は、しっかり利益を出し、適切に税金を納め、残ったお金を着実に貯めていくことです。
税金を払った後に残る「65万円」は、誰にも気兼ねなく使える、100%自由で安全なお金です。
この「税金支払い後のキャッシュの積み重ね」があるからこそ、借入の返済を進めながらも手元資金を蓄えることができ、新しい事業の立ち上げや大きな投資といった勝負どころで、果敢に打って出ることができるようになります。
6.キャッシュフローを計算し尽くした「戦略的節税」なら積極的にやるべき
誤解のないように言っておくと、私は「節税」という行為そのものを否定しているわけではありません。
自社のキャッシュフローや資金繰り、数年先までの投資計画をしっかりと計算したうえで、「今ここでこの節税策を使うことが、手元のキャッシュ最大化につながる」という合理的な判断のもとで行う節税であれば、何の問題もありません。
それどころか、手元資金を増やすための経営戦略として積極的に行うべきだと考えています。
本当に危険で避けるべきなのは、資金繰りや手元のお金の動きを一切考えず、ただ単に「なんとなく税金を払いたくないから」という感情や、「周りの経営者仲間がみんなそう言っているから」という理由だけで意思決定をしてしまうことです。
意思決定の軸に「自社の資金繰り(キャッシュフロー)」があるかどうか。
ここが、強い会社と資金繰りに苦しむ会社を分ける大きな分岐点になります。
まとめ:目先の節税を捨て、未来に使える「本物のキャッシュ」を残そう
経営において真に勝者となるのは、「税金をいかに払わないか」を追求した会社ではなく、「手元にいかに多くの使えるキャッシュを残したか」を追求した会社です。
資金繰りを無視して100万円を使い税金をゼロにするくらいなら、35万円の税金を堂々と払って、残った利益から手元に確実にキャッシュを積み上げていく。
そして計算し尽くした戦略的な節税は武器として賢く使いこなす。
この当たり前の積み重ねこそが、あなたの会社を持続的な成長へ導く最強のエンジンになります。
次の事業拡大に向けた資金基盤を作るためにも、今一度自社の「決算」と「キャッシュフロー」のバランスを見直してみてはいかがでしょうか。
【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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