Blogブログ粉飾決算が会社を潰す理由とは?プロにはすぐ見破られる「ツケの先送り」の恐怖
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こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
今回は、粉飾決算の大きなリスクについて話をします。
「今期は勝負の年だったのに、思っていた利益が出ない…」
「今期さえ乗り切れば、来期はデカい案件が決まっているんだ」
業績を伸ばし、果敢にチャレンジを続ける「攻めの経営者」ほど、数字に対する執着心が強いものです。
それゆえに、一時的な業績の落ち込みに直面したとき、こう考えてしまうことがあります。
「今期だけ、少しだけ利益を調整するか…」
実は私の元にも、「調整した決算書」を携えて相談に来られる攻め社長がたまにいらっしゃいます。
しかし、プロの目から見れば粉飾決算なんて一目瞭然ですぐにわかります。
手口が決まっているからです。
ということは、金融機関も粉飾決算には気づいているはず…
何より悲しいのは、相談に来られる社長の多くが「粉飾をすると、そのツケが翌期に丸々押し寄せてくる」という構造をまったく知らずに手を染めていることです。
在庫を増やして利益を多く見せるような粉飾は、病気の根本を治さずにその場の痛みだけをごまかす「対症療法」に過ぎません。
その場の見た目を整えても、翌期にはもっと大きな痛みが襲ってきます。
今回は、社長が粉飾に走る理由と、在庫調整が翌期に恐ろしいツケをまわすカラクリを、現場のリアルな視点から解説します。
なぜ社長は粉飾決算をするのか?3つの目的
そもそも、なぜリスクを冒してまで粉飾(決算書の偽装)を行ってしまうのでしょうか。
現場でよく見る目的は以下の3つです。
・銀行からの融資維持・追加融資のため(最大の理由)
赤字や債務超過に陥ると、銀行の格付けが下がり、追加融資が受けられなくなったり返済を迫られたりします。
「事業を止めるわけにはいかない」という焦りから数字を取り繕ってしまいます。
・取引先や株主からの信用を守るため
決算書が悪化すると、取引先から買い叩かれたり、与信枠を削られて取引を停止されたりする恐れがあります。
・経営者としてのプライド・見栄
「ずっと黒字経営をしてきた」「業界内で優秀だと思われたい」という攻め社長ならではのプライドが、赤字の開示を拒絶させてしまうケースです。
目的がどうあれ、数字をごまかした瞬間から「負の連鎖」がスタートします。
なぜ社長は「ツケが翌期にまわること」を知らないのか?
「来期の利益を前借りしているだけ」という粉飾の本質は、会計知識がなければ社長一人で気づくことは不可能です。
だからこそ、経営のパートナーである顧問税理士からの適切な説明とアドバイスが絶対に不可欠なのです。
しかし、残念ながらそのリスクや構造が十分に説明されないまま進んでしまうケースが少なくありません。
社長から「今期どうしても利益を増やしたい」と言われた際、翌期にどのような負担がかかるのかという危険性を丁寧に説明せず、言われるがまま(あるいは気を利かせたつもりで)在庫の数字をいじってしまうケースがあるのです。
社長は「無事に決算がまとまった」と胸を撫で下ろしますが、本当の地獄は翌期が始まった瞬間に自動的にスタートしているのです。
粉飾の王道「在庫調整」の悪質なカラクリ
粉飾決算で最も使われる定番の手口が「期末在庫(棚卸資産)の水増し」です。
なぜ在庫をいじると利益が増えるのか?
それは、決算における売上原価の計算式に理由があります。
売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 - 期末在庫
売上原価(=売れた分の仕入れの費用)が小さくなればなるほど、利益は大きく計算されます。
つまり、「期末在庫」の数字を実際より大きく書類に書くだけで、売上原価が減り、利益が簡単に増やせてしまうのです。
だからこそ、プロ(銀行やコンサルタント)が決算書を見れば「売上に対して不自然に在庫が膨らんでいるな」と一発で見破れてしまいます。
【数字で解説】本来500万の在庫を「800万」に水増ししたらどうなる?
具体的に数字で確かめてみましょう。
本来の期末在庫が500万円の会社があるとします。
ここで利益を多く見せるため、帳簿上の期末在庫を800万円に増やしました(300万円の水増し)。
今期の見た目 売上原価が300万円小さくなり、利益が300万円増えます。
一見すると、無事に黒字化できて、銀行からの評価も守れたように思えます。
翌期に襲いかかる「300万円のツケ」 今期の「期末在庫(800万円)」は、そのまま翌期の「期首在庫(800万円)」として引き継がれます。
・本来のスタート: 期首在庫 500万円
・粉飾後のスタート: 期首在庫 800万円
本来なら500万円分の在庫でスタートできたはずが、帳簿上は800万円からのスタートになります。
今期増やした300万円の利益は消えてなくなったわけではありません。
水増しした300万円はそのまま翌期の「期首在庫」へ引き継がれ、スタート地点で身に覚えのない経費が300万円分上乗せされた状態になります。
つまり、今期増やした300万円の利益のツケが、そのまま翌期の売上原価を膨らませ、翌期の利益を自動的に300万円押し下げてしまうのです。
【実録】粉飾を8年続けた会社の末路
翌期に自動的にまわってきた「300万円のツケ」を取り戻すには、自力で300万円以上余計に利益を稼ぎ出すか、さらに大きな粉飾でツケを先送りするしかありません。
そして多くの社長が「ツケの上塗り」を選択します。
実際、私の元へ相談に来られた経営者の中に、まさにこのツケの先送りを8年間続けてしまった社長がいらっしゃいました。
最初はほんの数百万の在庫水増しでした。
しかし、翌期にまわってくるツケを払いきれず、また次の粉飾を重ね、を繰り返した結果…
8年後には帳簿上の在庫が「本来の実際の在庫の5倍」にまで膨れ上がってしまったのです。
バランスシート(貸借対照表)を開くと、在庫の数字だけが異様に突出し、素人が見ても一目でわかるほど傷みきった決算書になっていました。
そして何より恐ろしいのは、そこまでいくと社長自身も「自社の本当の数字」が分からなくなることです。
・「うちは今、本当はいくら儲かっているのか?」
・「実際はいくらの赤字なのか?」
本当の損益が何も見えなくなり、まさに「にっちもさっちもいかない状態」に陥ってしまいました。
まとめ:攻めの経営だからこそ「生の数字」で本質改善を行おう
在庫調整による粉飾は、痛みを一時的に和らげる「対症療法」であり、本質的な改善にはなりません。
それどころか翌期になれば、そのツケは何倍もの重圧となって会社を苦しめます。
もし「在庫を少し調整しておきましょうか」と言われたり、リスクの説明もないまま処理されそうになったりしても、絶対に安易に乗ってはいけません。
果敢に事業を前進させるほどのエネルギーを持った「攻めの社長」だからこそ、そんな対症療法に頼る必要はないはずです。
現実の数字(実績)をそのまま直視し、「どこに無駄があるのか」「なぜキャッシュが残らないのか」という構造からの本質的な利益改善を行っていけば、会社は確実に強くなっていきます。
数字のごまかしという虚像ではなく、正しい資金繰りと現実のデータで、攻めの経営を力強く加速させていきましょう。
▶ここでは粉飾決算のリスクもきちんと説明して、社長の意思決定のサポートをしています
【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
【孤独な決断に、確信を】
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