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会社に残すべき利益の額とは?資金繰りを悪化させないための絶対条件
こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
経営者の方から「会社にはどれくらいの利益を残せばいいのでしょうか?」というご質問をよくいただきます。
実は、昨日も、資金繰りメールサポートで「うちは利益はいくら必要ですか?」とご相談をいただきました。
「利益はいくら残せばいいのか?」に対する考え方は、会社の成長段階や事業方針、社長が思い描く将来像などによってさまざまです。
明確な正解がひとつだけ存在するわけではありません。
しかし、どんな会社であっても絶対にクリアしなければならない「最低限のライン」が存在します。
それは…
「借入金の元本返済を無理なく賄えるだけのキャッシュを残せているか」
という点です。
なぜ「返済分」を考慮した利益が必要なのか?
決算書上の「利益」と、手元に残る「キャッシュ」は一致しません。
特に注意しなければならない点は、銀行へ支払う借入金の返済のうち「元本部分」は損益計算書上の経費にはならないということです。
利息は経費になりますが、元本返済は経費になりません。
つまり、元本の返済資金は、税金を支払った後に残った利益(税引後利益)から出すことになります。
したがって、もし会社に残る利益が返済額に届いていないと、過去に蓄えた現預金を切り崩して返済に充てることになります。
そしてこれが続けば、間違いなく資金繰りは悪化し、じわじわと経営を圧迫していきます。
「損益計算書上は黒字だから大丈夫」と思っていても、返済額に対して利益が不足していれば、会社のキャッシュは確実に減っていくのです。
実務で押さえるべき「返済原資」の計算式
では、実務上はどのように返済能力をチェックすればよいのでしょうか?
ここでポイントになるのが「減価償却費」です。
減価償却費は、損益計算書の上では費用(マイナス)として扱われますが、実際にはお金が外に出ていかない費用です。
そのため、手元に残る返済原資を計算する際は、税引後利益に足し戻して考えます。
実質的な返済能力を見るための基準は、このような計算式です。
この「税引後利益 + 減価償却費」が年間の返済額を上回っていれば、本業で生み出したお金の範囲内で返済できている状態と考えられます。
逆に、この合計額が返済額を下回っている場合は、構造的な資金不足に陥っているサインです。
ちなみに「税引後利益」というのも注意点です。
「税金を払った後の利益」ですから、税金をざっくり30%とすると…
例えば「税引後利益」として70万円必要な場合は、税引前利益(税金を払う前の利益)は100万円必要だということになります。
税金については、度外視してしまう社長をよくみかけますが、ここは要注意です。
※留意点:理論上の計算と「実際の資金繰り」の違い
ただし、今回お伝えした「税引後利益 + 減価償却費 ≧ 返済額」という式は、あくまで会計上・理論上の計算(基準)である点には留意が必要です。
実際の資金繰りにおいては、以下のような要因によって手元に残る現金が大きく変動します。
したがって、理論上は利益が足りているはずなのに、資金繰りが苦しくなるという事態が起こり得ます。
・売掛金の回収や買掛金の支払タイミング(サイトのズレ)
・棚卸資産(在庫)の増加による資金の寝かせ
・売上拡大に伴う増加運転資金の発生
・保険料の資産計上(経費にできない保険料)
「会計上の必要利益」と「実際の資金繰り」にはギャップが生じる場合があることを念頭に置くこと。
そして、日頃から実績資金繰り表などを活用して手元の現預金推移をしっかり確認・管理しておくことが大切です。
まとめ:利益の「額」ではなく「役割」に目を向ける
会社に残すべき利益の額は、決して「なんとなく」や「節税との兼ね合い」だけで決めるものではありません。
利益には「会社の資金繰りを守り、借入金を返済し、次の成長へ投資する」という明確な役割があります。
1.年間の借入元本返済額を把握する
2.「税引後利益 + 減価償却費」が返済額を上回るラインを最低目標にする
3.実際の資金繰り(キャッシュの動き)も併せて注視する
この構造を正しく理解し、必要な利益をしっかりと手元に残していくこと。
これこそが、資金繰りに追われず、攻めの経営へ踏み出すための揺るぎない土台となります。
まずは直近の決算書を開き、自社の「返済額」と「返済原資」のバランスをチェックすることから始めてみませんか?
会社は「攻め」も必要ですが「守り」も必要です。
・「守る」をサポートする「資金繰りメールサポート」はこちらです
【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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