Blogブログ「忙しいのにお金が残らない」理由とは?損益分岐点から導く必達売上の求め方

2026/09/05 (土)
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「今月も現場は忙しかった」

「売上も順調に上がっている」

それなのに、なぜか会社にお金が残らない。そう感じたことはありませんか?

どんどん事業を推し進める「攻めの社長」ほど、売上目標を意識して走っています。

でも実は「お金を残すためにいくら売らなければいけないか」という構造を正しく把握できていないケースはめずらしくありません。

そこで今回は、手元にお金を残すための「必達売上高」の考え方と、その計算に欠かせない「損益分岐点」の基本について整理します。

 

 

税理士の使い方、

 

 

「売上はあるのに、お金が残らない」のはなぜか?

黒字が出ているはずなのに手元にお金が残らない…。

その大きな理由は、「決算書上の利益」と「手元に残るお金(キャッシュ)」は別物だからです。

例えば、利益が100万円出たとしても、手元のキャッシュが100万円残るとは限らないわけです。

会社には、損益計算書の「費用」にはならない「支出」が存在します。

 

  ・借入金の「元金返済」(利息しか費用にならない)

  ・税金の支払い

  ・売掛金の回収の遅れや、在庫の増加

 

これらはすべて、手元に残った「利益」の中から支払わなければなりません。

そのため、単に損益トントン(利益ゼロ)を目指すだけではお金が足りなくなります。

また、たとえ黒字であってもお金が残らないのであれば、経費になる・ならないにかかわらず「出ていくすべてのお金に対して、利益が単純に足りていない」可能性が大です。

つまり手元にお金を残すには、ただの黒字ではなく、「出ていくお金をすべて払った上で、なお残したい利益」と「それを生み出す必達売上高」を知る必要があります。

 

 

そもそも「損益分岐点売上高」とは?

必達売上高を導き出すベースとなるのが、損益分岐点売上高です。

一言でいうと、「利益は出ていないけれど、赤字でもない、損益トントンの売上高」のことです。

 

  ・この金額を下回る = 赤字

  ・この金額を上回る = 黒字(ここから先が本当の利益)

 

「赤字にならないために、毎月最低限いくら売らなければいけないか」という境界線を指します。

 

計算に必要な「2つの数字」と簡単な計算例

損益分岐点や必達売上高を計算するには、自社の数字の中から以下の2つを把握する必要があります。

 

  1.固定費:売上の増減に関係なく発生するコスト(役員報酬・人件費、家賃など)

  2.変動費率(または限界利益率):売上に比例して増減するコストの割合(仕入れ、外注費など)

※限界利益率は、ざっくり言えば「粗利率(売上のうち手元に残る粗利の割合)」のことです。

 

計算式は非常にシンプルです。

  損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

 

【具体例】

  ・毎月の固定費:100万円

  ・売上に対する粗利の割合(限界利益率):40%(0.4)

  100万円 ÷ 0.4 = 250万円

 

この会社の場合、「毎月250万円売って、はじめて損益トントン(利益ゼロ)」になります。

 

 

「利益を2倍にするには、売上を2倍にすればいい?」 

では、ここからが本題です。

元金返済や将来の蓄えのために「今の利益を100万円から『200万円(2倍)』に増やしたい」場合、売上はいくらにすればよいでしょうか?

経営者とお話ししていると、 「利益を2倍にしたいなら、売上も2倍にすればいい」 と考えてしまう方が少なくありません。

しかし、売上が増えても毎月の固定費(家賃や人件費など)は変わりません。同時に、仕入れや外注費などの変動費は売上に比例して増えます。

目標利益(200万円)を組み込んだ「必達売上高」の計算式は以下の通りです。

 

必達売上高 =(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率

先ほどの例(固定費100万円、限界利益率40%)にあてはめると、

(100万円 + 200万円)÷ 0.4 = 750万円

  ・利益100万円のときの売上:500万円

  ・利益200万円(2倍)のときの売上:750万円(1.5倍)

 

粗利が40%(0.4)の構造であれば、利益を2倍にするために必要な売上は「2倍(1,000万円)」ではなく「1.5倍(750万円)」で済みます。

この構造を知らないまま「売上も2倍にしなきゃいけない」と思い込んでいると、無駄に高いハードルを設定してしまったり、逆に目標とすべき売上を見誤ってしまいます。

 

 

「攻めの社長」こそ数字を手元に置く

固定費と変動費率(限界利益率)の2つを把握していなければ、損益分岐点も、利益を2倍にするための必達売上高も計算できません。

 

  1.自社の固定費と変動費率(限界利益率)を把握する

  2.赤字にならない「損益分岐点」を確認する

  3.欲しい利益から逆算して「必達売上高(利益計画)」を立てる

 

事業拡大や投資といった攻めの決断を確実な成果につなげるためにも、感覚だけに頼らず、この順番で足元の数字を整理してみてください。

まずは決算書や月次データを手元に準備し、自社の固定費と限界利益率を算出してみることから始めてみましょう。

▶固定費や変動費率などの自社の数字を把握するサポートはこちらです

 


 

【著者プロフィール】

辻 朋子(つじ ともこ)

株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント

35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。

売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。

そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」

資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。

そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、

強い基盤をつくることをアドバイスしています。

「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。

経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、

絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。

 

好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。

数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。

 

【孤独な決断に、確信を】

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