Blogブログ【攻めの経営】粗利益率と限界利益率の違いとは?利益を残す社長だけが知っている正しい数字の使い分け
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こんにちは。資金繰り本質改善コンサルタントの辻朋子です。
日々、社長のサポーターとして経営の現場に関わらせていただくなかで、よく感じることがあります。
それは…
「限界利益率」という数字を知らない、あるいは自社の「限界利益率」を把握していない社長がとても多いということです。
しかし、それも無理はありません。
決算書(損益計算書)を開いても、どこにも「限界利益」や「限界利益率」という言葉は登場していないからです。
一方で、決算書にも載っている「粗利益(売上総利益)」や「粗利益率」は、多くの社長が日常的にチェックされています。
そして、「うちの会社は粗利益率も限界利益率も数値が一緒だから、同じようなものとして考えているよ」とおっしゃる社長も…。
ですが、ここに大きなポイントがあります。
結果として「粗利益率」と「限界利益率」が同じ数値になる会社があるのは事実です。
でも、そもそも計算のプロセスも、使う目的もまったく違います。
何より「限界利益率」を把握していないと、会社が赤字にならないための「損益分岐点売上高」が計算できません。
また、目標利益を達成するために必要な「必達売上高」も正しく計算することができません。
そこで今回は「限界利益率」を知らない社長に向けて、粗利益率との違いや正確な使い分けを、具体的な数字の例を交えて解説します。
ぜひこの機会にしっかり違いをおさえて、自社の数字を把握してくださいね。
1.そもそも何が違う?基本の「考え方」と「計算プロセス」
まずは、2つの利益の決定的な違いを押さえましょう。
違いのポイントは「経費をどう分類して計算するか」というプロセスにあります。
粗利益率(売上総利益率)とは?
・計算方法:売上高から売上原価を引いて「粗利益」を出し、それを売上高で割って算出します。
・視点:会計・決算のルールに基づいた「商品・サービスの力」を測る指標です。
・特徴:決算書(損益計算書)の一番上の方に出てくる馴染み深い数字です。
・仕入高や製造にかかった直接のコストである「売上原価」を引いて求めます。
限界利益率とは?
・計算方法:売上高から変動費を引いて「限界利益」を出し、それを売上高で割って算出します。
・視点:意思決定・経営計画のための「売上が1円増えたときに残る手残りの力」を測る指標です。
・特徴:決算書には出てこないため、自分で経費を「売上に応じて増えるコスト(変動費)」と「売上に関係なくかかるコスト(固定費)」に分解して計算する必要があります。
2.なぜ「結果的に同じ数字」になる会社があるのか?
「うちの会社は、粗利益率も限界利益率も同じ数値だよ」という社長も多いはずです。
例えば、「商品を仕入れて、そのまま販売する卸売業や小売業」をイメージしてください。
この場合、商品仕入高がそのまま「売上原価」となり、同時に売上に完全連動する「変動費」にもなります。
また、その他の経費である家賃や社員の給与は、売上に関係なく発生する「固定費」に分類されます。
このようなビジネスモデルでは、「売上原価」と「変動費」がまったく同じ項目(=仕入高のみ)になるため、計算結果としての「粗利益」と「限界利益」が同額になります。
しかし、これはあくまで「結果として数字が一致した」だけに過ぎません。
製造業やサービス業、あるいは外注費や販売手数料が発生するビジネスでは、両者はズレてきます。
プロセスや考え方が根本的に異なることを知っておくことが大切です。
3.具体例で見る数字のシミュレーション」
ここで、具体的な数字を使って「製造・サービス要素がある会社」の例を見てみましょう。
ある会社の1ヶ月の数字
・売上高:1,000万円
・売上原価:400万円(うち、材料費200万円、工場の固定人件費・減価償却費200万円)
・販売管理費:500万円(うち、売上に連動する販売手数料100万円、社内の固定給与・家賃400万円)
この数字を、2つの視点で分解してみます。
【粗利益の計算プロセス】
売上高1,000万円から、売上原価400万円を差し引きます。
・粗利益:600万円
・粗利益率:60%(600万円 ÷ 1,000万円)
【限界利益の計算プロセス】
まず、すべての経費を「変動費」と「固定費」に分け直します。
・変動費:材料費200万円 + 販売手数料100万円 = 300万円
・固定費:工場の固定人件費等200万円 + 販売管理費の固定費400万円 = 600万円
売上高1,000万円から、変動費300万円を差し引きます。
・限界利益:700万円
・限界利益率:70%(700万円 ÷ 1,000万円)
このように、経費の捉え方を変えるだけで、粗利益率は60%、限界利益率は70%と、10%の差が生まれます。
4.攻め社長が「限界利益率」を把握すべき明確な理由
粗利益率だけでも日々の業績確認はできます。
しかし、これからの計画や目標を立てる時には「限界利益率」の把握が欠かせません。
冒頭でも触れたとおり、限界利益率がわからないと次の2つの重要な数字が計算できないからです。
① 損益分岐点売上高が計算できる
損益分岐点売上高とは、「トントン(赤字にも黒字にもならない)になるために最低限必要な売上高」のことです。
計算式は「固定費 ÷ 限界利益率」です。
先ほどの例(固定費600万円、限界利益率70%)で計算してみましょう。
固定費600万円を限界利益率0.7で割ると、約857万円となります。
つまり、この会社は月間857万円の売上を上げて初めてトントンになるというラインが明確に分かります。
② 目標利益を達成するための「必達売上高」が計算できる
攻めの経営を行う際、「今期は営業利益を300万円出したい」という具体的な目標を立てるはずです。
そのために必要な売上高も、限界利益率を使えば一瞬で算出できます。
計算式は「(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率」です。
先ほどの例で、目標利益300万円を達成したい場合、固定費600万円と目標利益300万円を足した900万円を、限界利益率0.7で割ります。
すると、約1,285万円という数字が出てきます。
「今期、利益を300万円残すためには、売上1,285万円が必達ラインだ」という具体的な行動目標が導き出せます。
5.まとめ:2つの指標の正しい使い分け
最後に、現場での使い分けを整理しておきます。
【粗利益率(売上総利益率)の使いどころ】
・主な役割:商品やサービスそのものの「稼ぐ力」を測定します。
・活用場面:商品ごとの値決めや原価管理、過去の業績推移の確認、同業他社との採算性の比較などに使います。
【限界利益率の使いどころ】
・主な役割:将来の計画を立てたり、経営上の判断を下す際の基準にします。
・活用場面:損益分岐点や目標売上高の計算、「売上を〇%増やしたら利益はいくら増えるか」といった将来予測に使います。
過去の成果を確認し、商品そのものの採算性を見るなら「粗利益率」。
これから先の計画を立て、具体的な販売目標を決めるなら「限界利益率」。
決算書には載っていない「限界利益率」ですが、この考え方を取り入れることで経営の精度は一気に上がります。
まだ計算したことがないというあなたは、ぜひ一度、自社の経費を「変動費」と「固定費」に分けて計算してみてください。
【著者プロフィール】
辻 朋子(つじ ともこ)
株式会社スマップス 代表取締役/資金繰り本質改善コンサルタント
35年以上にわたり1,000人を超える経営者の「生の声」と「経営の実態」に向き合ってきた現場のエキスパート。
売上が急拡大し利益が出ている会社でも「借入金があるから資金繰りが回っているだけ」という会社は非常に多いです。
そういう会社に対して「手元に残高があるうちに」「金融機関から融資が引っ張れるうちに」
資金繰りの本質改善を行うことを提唱しています。
そして、本業の収入の範囲内ですべての支払いと借入返済がまかなえる構造にして、
強い基盤をつくることをアドバイスしています。
「難しい経営数字がとにかくわかりやすい!」と好評のYouTubeも配信中。
経営者の「孤独な決断の答え合わせ相手(頼れる軍師)」として、独自メソッド「2つのバケツ理論」などを通じ、
絶対に黒字倒産させない「最強の守り」を固める伴走サポートを提供しています。
好きな言葉:事実は1つ。解釈は2つ。
数字とお金の不安から解放され、確信を持って「事業の成長と挑戦」を楽しめる社長を増やすことが私の使命。
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